相加・相乗・調和平均の図形的考察
図Ⅰについて簡単に述べる。
AC = \(a\) ,BC = \(b\) で,AB を直径とする半円Oを描く。BD,AE,OF および CP は AB に垂直で,BD = \(b\),AD = \(a\) である。
I は DE と CP の交点,CH は C から OP に引いた垂線である。
\begin{align}
\dfrac{a+b}{2},\quad \sqrt{ab},\quad \dfrac{2}{\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b}} \ \left( = \dfrac{2ab}{a+b} \ \right) \nonumber\\
\end{align}
を \(a,b\) の相加(算術)平均,相乗(幾何)平均,調和平均という。
これらの値を長さにもつ線分は,図Ⅰにおいてどれであるかを求めてみよう。
円の半径 OA,OB,OF,OP が相加平均 \( \dfrac{a+b}{2} \) であることがわかる。∵ 直径の半分だから
図より,OP = \( \dfrac{a+b}{2} \),OC = \( \left| \ a - \dfrac{a+b}{2} \right| = \left| \dfrac{a-b}{2} \right| \) だから
三平方の定理より,
\( \mathrm{PC}^2 = \mathrm{OP}^2 - \mathrm{OC}^2 = \left( \dfrac{a+b}{2} \right)^2 - \left| \dfrac{a-b}{2} \right|^2 = ab \)
∴ PC = \( \sqrt{ab} \)
補助線 BE を引き,CP との交点を J とする。このとき,\( \mathrm{AE} /\!/ \mathrm{CP} /\!/ \mathrm{BD} \) より,平行線と比の関係から
CI = CJ + JI = \( \dfrac{b}{a+b} \times a + \dfrac{a}{a+b} \times b = \dfrac{2ab}{a+b} \)
また,△OCPにおいて, OC = \( \left| \dfrac{a-b}{2} \right| \) より
PH = CP \( \cos \angle \mathrm{CPO} = \mathrm{CP} \times \dfrac{ \mathrm{CP} }{ \mathrm{ OP } }
= \dfrac{ \mathrm{CP^2} }{ \mathrm{OP} } = \dfrac{ab}{\dfrac{a+b}{2}} \)
以上から,\(a, b\) の相加平均は OA = OB = OF = OP,相乗平均は CP,調和平均は CI = PH である。
この図から,相加平均(OP),相乗平均(PC),調和平均(PH = CI)の大小関係が一目でわかる。
厳密には,I が線分 CP 上にあるかどうかを調べなければいけないと思われるが, PH \( \leqq \) PC であることは図から明らかであろう。
また,相似より OP : PC = PC : PH であることがわかるから,2個の平均について,以下の関係について図を利用した方が気付けるであろう。
(相加平均) : (相乗平均) = (相乗平均) : (調和平均)